I Am a Rock

 

  ある冬の日 雪に埋もれ どんよりしたある日

  僕はただひとり 窓から下の通りを じっと見つめている

  降り積ったばかりの真っ白い雪の帳

  僕は岩 僕は島

  

  僕は壁を築いた 誰も侵入できないような 厚く頑丈な要塞を

  僕には友情なんて必要ない

  友情は苦しみを生み出すだけ 

  僕が何よりも軽蔑しえいるのは 笑い声と愛さ

  僕は岩 僕は島

  

  愛について語るのはやめてくれ

  でも その言葉は昔 耳にしたことがある

  僕の記憶の底に眠っている

  死んでしまった感情の安らかなまどろみを

  今更 邪魔する気はない

  もし 愛さえなければ 泣くこともなかっただろう

  僕は岩 僕は島

  

  僕には本がある 守ってくれる詩がある

  僕は鎧に身を固め

  部屋の中でじっと息を潜めている

  自分自身の中で 僕は安全だ

  僕は誰にも触れない 誰かが僕に触れることもない

  僕は岩 僕は島

  

  なぜなら 岩は苦痛を感じない

  そして 島は決して泣きはしない





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